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失敗談

 実際にパワーエレクトロニクスに関連する回路を
 作成して、テストしたときには、いろいろと失敗
 をしました。

 いろいろとやってしまったことを、記しておきます。


 インバータが動かない。(その1)   直流電源を用意し、マイコンで発振器を構成して   から、トランスにパルスを与えて、交流を取出す   実験をしました。   交流波形が出てきません。   オシロスコープで、発振信号を追ってみると   2本の発振信号の位相が同じでした。   位相が同じでは、スイッチングできないので   交流信号が出るはずがないのでした。   ファームウエアを修正して対応しました。
 インバータが動かない。(その2)   発振器をオシロスコープで確認し、パワーMOSFET   でのスイッチングを確認しても、交流が出ません。   スイッチングデバイスのパワーMOSFETに接続して   いる回路に、直流電圧を与えていませんでした。   危険回避用に、ファームウエアで不要なときに   直流電源を接続しない回路を使っていました。   安全装置の解除をしないで動かそうとしていました。   スイッチを用意して、安全装置解除をするかしないか   を選べるようにして対応しました。
 パワーMOSFETが、すぐに破壊される。(その1)   スイッチングデバイスとしてパワーMOSFETを   利用して、逆起電力対策に、ボディダイオード   の他に、外部でスイッチングダイオードを接続   しました。   誘導電動機に接続して動かすと、最初のうちは   調子よくスイッチングしていましたが、すぐに   動かなくなりました。   色々調べて、パワーMOSFETが破壊されていること   までわかりました。破壊されないように、外部に   ダイオードをつけているのに、まったく用をなさ   ないのです。   外部に接続したダイオードは、破壊されていません。   パワーMOSFETが破壊されて、外部のダイオードが無事と   いうことは、MOSFETに過大電流が流れたと判断できます。   過大電流が流れるということは、瞬間的に   上から下に貫通電流が流れたということ。   通常スイッチングデバイスを破壊しないようにデッド   タイムを用意して対応します。   制御用の電子回路は、マイクロコンピュータを利用   しています。マイコンのタイマー割込みでステート   マシンを動かし、デッドタイムも入れています。   タイマー割込みは、他に優先する事象があれば   そちらを優先して、実行します。デットタイム   を実行すると、期間の長短が発生します。時間   の長短でデバイスの回復時間を確保できずに   貫通電流が流れたと判断しました。   マイコンのタイマー割込みがよくないのなら、デジタル   回路を使い、確実にデットタイムを用意して、デバイス   の回復時間を満足するように変更しました。   RTOS(Real Time Operating Syste)を利用したマイコンで   制御するには、充分気をつけなければならないと思い知り   ました。   マイコンの動作周波数が低い場合、RTOSを使わずに   ハードウエアによる制御を採用した方がよいと考え   ています。
 パワーMOSFETが、すぐに破壊される。(その2)   パワーMOSFETが1パッケージに2個入った部品を   利用した回路をテストしていました。   3相交流を利用するために、PchとNchが入った部品を   3セット用意して配線量を減らしました。   試作回路の半田付けが終わったので、テストするため   基板にPWM制御信号を入れて見たところ、一瞬で火が   つきました。   PWM制御信号を受ける回路に入れてある、抵抗の許容電力値   が不適切だったのが原因でした。   抵抗の許容電力値を1/2W以上としなければならないのを、1/8W   をつけていました。外注への半田付け部品の指定を忘れて   チェックを怠ったのが焼損を引き起してました。   1/8Wの抵抗を4本用意し、並列接続で抵抗値を確保して   対応しました。   発注時指定、受入れ時チェックが重要だと痛感しました。
 3相誘導電動機が回らない。   3相誘導電動機にインバータを接続して   始動ボタンを押すと回転しません。   回らない原因は、始動電力が足りないのでした。   誘導電動機は回ってしまえば、利用する電力は少ない   のですが、始動電力は定常状態の3倍〜10倍程度を   考えなければなりません。   大型重機の現場だったので、焦りました。   誘導電動機が回らないと、仕事になりません。   大容量インバータを持ってくるには、時間が足りません。   回ってしまえば、使う電力が少なくてよいので   直流電動機で、回転トルクを与えて、少し回して   から始動ボタンを押して、回しました。   小さな電動機で、大きな電動機やエンジンを始動するのは   バイクや航空機で利用されています。これを思い出して   次の日までに大容量インバータに交換するため、徹夜作業   になりました。   内燃機関のエンジンは、自分では始動できません。   自動車やバイクの場合、セルモータを使い3回くらい   エンジンのピストンを上下させ、プラグに火花を飛ば   して始動します。   キャプレータ方式の自動車なら、押しがけができました。   それと同じやり方を適用しました。

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