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公式の適用条件は何

 算数や数学の教科書で扱われる公式は
 いろいろありますが、その適用条件を
 与えないと、頓珍漢な結果になります。


論理と数値処理  次の公式は、Bool代数では頻繁に使われます。  0と1は、論理値としてBool代数での公式と  適用条件を入れて考えると、問題ないですが  単なる代数では加算結果が間違いです。  Bool代数は、自然現象の一部を説明する数学上の  概念のひとつです。  熱機関を考えるとき、40℃の湯と40℃の湯を  容器の中にいれても、40℃の湯のままです。  単なる代数の加算では、熱の性質を説明できません。  論理値を用意して、「40℃の湯である」が論理値の  1に対応させると、現象を説明できます。  1+1=1ですから。  熱の場合、振動現象の活発さを表現しているので  活発さが同じなら、全体でみても、活発さは変化  いません。  身近な物理現象が、Bool代数で扱えるか代数で扱える  のかは、条件により異なるので、何に適用されるかを  考えて対応しなければ、駄目ということ。
radianとdegree  三角関数を利用するとき、角度をradianとするのが  理工学の専門書や関数電卓の約束になってます。  radianで指定すべきところに、degreeによる数値を  与えてしまうと、結果がまるで異なります。  円周率のπを利用すると半径rからの円周の長さ  2πrで表現できます。半径を1として2πが円周  になることから、360degreeを2πとして計算する  という約束事を採用しているだけ。  この約束事を「定義」と呼んで、約束事から公式を  導き出します。  360degree=2πから、180degree=πとなり、三角比で  利用する30degree、45degree、60degree、90degree  を、比例で計算できます。 180degree:π =30degree:x から x = π/6 30degree = π/6 60degree = π/3 (x2) 90degree = π/2 (x3) 120degree = 2π/3 (x4) 150degree = 5π/6 (x5) 90degree:π/2=45degree:x から x = π/4 45degree = π/4 90degree = π/2 (x2) 135degree = 3π/4 (x3) 180degree = π (x4)  30degreeと45degreeが、radianでいくつになるのかを  知っていれば、2、3、4、5倍して、代表的な角度  を求めれば充分。  degreeとradianの対応がわかれば、三角関数で使われる  角度での計算が楽になります。  角度と数値の関係は、次の図で理解できるでしょう。  tangent(タンジェント)は、鉄道や登山で身近にある  移動距離を算出するための道具に使われます。  水平方向と垂直方向の移動距離を、「ピタゴラスの定理」に  あてはめて、斜面のおおよその移動距離を計算できます。  おおよその移動距離としたのは、斜面に凹凸があれば、その分  だけで距離が長くなるので、計算とのズレを考えるから。  三角比、三角関数は、気象学、天文学、考古学等で利用する  便利な道具になっています。  GPSがないときに、星の位置、太陽の位置を六分儀を利用して  計測し、時刻と同期させて自分の位置を算出するのは、船舶  航空機の乗務員には必須のスキルでした。  船舶では、自船の位置がわからないと他船との衝突や座礁の  危険があります。航空機なら燃料を使い切って墜落する等の  命に関わる重大事件に発展します。  相似を利用して「ナスカの地上絵」が描かれたとか、ピラミッド  の高さから、使われた石の数を計算するとか、様々な用途があり  ます。
自然対数と常用対数  指数と対数は、天文学や人間の感覚器の性質を数値で  表現するために使われる道具のひとつ。  常用対数は、心理学やオーディオで使われる単位の  dB(デシベル)計算の道具になります。  指数、対数の公式は、以下。  色つきの囲みが条件なので、これを与えないと  公式そのものが成立しません。  公式を利用すると、実数の0乗が1であることを導けます。  指数と対数は、コインの裏と表の関係になっています。  指数の右肩に乗っている数式を問題にするのが、対数  の計算と考えればよいでしょう。  指数と対数を導入した天文学者は、その概念を見たとき  「自分の寿命が2倍以上になったぞ!」と言ったそう。  天文学者は、星間距離を問題にしたり、ケプラーの法則のような  指数を含んだ数式を理解しないとならないので、指数から対数を  導き出して、乗算を加算に置換して計算し、元の乗算に戻すこと  ができると、研究に役に立ったのでしょう。  指数と対数には、次の性質があります。  乗算は、加算にして計算できる。  除算は、減算にして計算できる。  対数では、常用対数でも自然対数でも同じ性質をもちます。  常用対数は、底を10にしています。  自然対数は、底をe(ネピア数)にしています。  理工学では自然対数を使い、常用対数は心理学、無線工学  音響工学で使われることが多くなっています。  常用対数の底を10にするのは、10進数を利用している関係で  10の倍数を利用して数値範囲を判断する考えがあるから。  数値範囲を指数を利用した見方をすると、ダイナミックレンジと  呼ばれる考え方を使います。  音量を表現するのに使う単位には、フォン(phone)とdBがあります。  音量そのものは圧力に関係するので、パスカルという単位での表現  もできますが、電圧と電力で見たときの数値ではどうなのかを表現  するには、dBで考える方が楽。測定器が、電圧や電力を測るように  作られているので、その物理量で考える方が楽だからですけど。  dBは、単位のBell(ベル)の1/10になります。  サフィックスの d が、「deci grade」の略で1/10を意味します。  サフィックスの c は、「centi grade」の略で1/100を意味します。  1m=1000mmですが、1m=100cmと表現されます。  1mの1/100を単位とするとcmと書いて、1m=100cmに  なります。  10mmを単位でかんがえると、10mm=1cmですから  1000mm=100cmになります。  これらの約束事は、ダイナミックレンジを考えやすいように  元になる数を決めて、その100倍、10倍というように  しているだけで、自分にわかりやすい元の数を決めて考えても  問題ありません。  他人と話をするときに、同じ土俵で考えられるようにするため  サフィックスを使います。日本人と日本人なら、日本語が最も  わかりやすいでしょうが、日本人とロシア人がいて英語が理解  できるなら、母国語を使わないで英語で話すのと同じでしょう。  指数と対数の性質を利用した電力を使わない  計算機を作れるのですが、それは後での話題  にしておきます。

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