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位相制御システム

 AC100Vを利用する電動ドリルの回転速度を
 金属、木材に合わせて制御したいという
 依頼が出てきました。



 アナログで、ノブを回せば、回転数を可変
 できる電力制御キットとなれば、秋月電子
 のトライアック万能調光器。



 この回路は、以下(赤枠内)。




 商用電源は、50Hzか60Hzの正弦波なので
 電圧レベルを判断し、負荷に対して電力を与える
 位相制御を使っています。

 キャパシタの電荷の充放電で、電圧レベルを
 判定し、電圧をトリガーとして、負荷に電力
 を伝達。




 回路図の静電容量では、希望する回転数まで
 下げることができなかったため、部品を追加
 して、対応。

 キャパシタの電荷の充放電で、電圧レベルが
 変化することに注目し、静電容量を大きくし
 対応。




 キャパシタの電荷の充放電の時定数を、大きくして
 規定の電圧レベルに到達するまで時間が長くなれば
、負荷に与える電力を小さくできる。

 タイミングチャートでみれば、以下。




 1.0uFの静電容量をもつキャパシタを、並列に
 接続すると、0.47uFから1.47uFとなり、電荷の
 充放電の時定数は、従来の約3倍まで引延ばし
 電動ドリルの回転数を下げてみました。

 キャパシタの電荷の充放電の電圧レベルを
 トリガーにし、トライアックに与えてます。



 筐体に入れて、使いやすくしておきました。



 アナログ回路で実現していることを、デジタル
 回路に置き換えるなら、次のように考えても
 よいはず。

 正弦波がゼロ電圧になってから、指定時間後に
 トライアックにトリガー電圧を与えれば、位相
 制御で、電力制御はできる。

 マイクロコンピュータに、Arduinoを採用し
 位相制御で電動ドリルに与える電力を制御
 できるのと等価になります。



 AC電源は交流なので、基準電圧として0Vを利用
 するため、次の回路を入れます。



 マイコンの電源が必要なので、トランスを使い
 3端子レギュレータを使える電圧まで、降圧。

 交流を両波整流するため、ブリッジダイオードを
 利用。トランスから基準電圧0Vを取り出し。

 2つの回路をまとめると、以下。



 Arduinoは、外部割込みを使えるので、基準電圧
 0Vになったことを、検出後、トライアックを
 オンにして、持続時間を50Hzなら10ms、60Hzなら
 8msを上限とすればよいはず。

 プログラムでは、setup()とloop()で処理を
 記述していきます。

 まずは、setup()から。

#define CPULSE 2
#define TCON   7

byte eflag ;

void setup()
{
  /* control level */
  digitalWrite( TCON , LOW );
  /* pin direction */
  pinMode( TCON , OUTPUT );
  pinMode( CPLUSE , INPUT_PULLUP );
  /* set call back function */
  attachInterrupt( 0 , fhandle , FALLING );
  /* clear flag */
  eflag = LOW ;
}

 割込みハンドラを、fhandleとしたので、イベント
 通知フラグをセットするだけとします。

void fhandle()
{
  /* set flag */
  eflag = HIGH ;
}

 loop()は、イベント通知フラグを受け取って
 フォトトライアックに対して、論理レベルを
 出力するだけにします。

#define TDV 7

void loop()
{
  if ( eflag == HIGH ) {
    eflag = LOW ;
    /* enable triac */
    digitalWrite( TCON , HIGH );
    /* delay */
    delay( TDV );
    /* disable triac */
    digitalWrite( TCON , LOW );
  }
}

 遅延時間は、可変抵抗器で指定するように
 すれば、A/D変換器を使って対応できます。



 回路図の可変抵抗器の抵抗値は、適切ではないですが
 ソフトウエアで、遅延時間を出力電圧と対応させれば
 問題ありません。


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