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利用デバイス

 パワーエレクトロニクスでは、半導体を利用します。

 パワーエレクトロニクス用の半導体は電力を扱うので
 オーディオや無線機で使うような半導体と比べ、頑丈
 な素子を利用します。

 電流は1A以上、印加電圧は12V以上の直交流を扱いますが
 代表的な半導体は、以下です。

 半導体だけでは、パワーエレクトロニクス回路を
 構成できずインダクタ、キャパシタ、トランスを
 利用します。

 パワーエレクトロニクスを実現するため、必要と
 なる内容を記しておきます。


ダイオード

 ダイオードの記号は、次のように2端子で電流の流れる方向を  示してあります。  流す電流は、1A以上になることが多いですが、順方向電圧VFは  1V以下の素子を利用します。  パワーエレクトロニクスは、省電力を求められるので、回路で  発生する電力損失を、極力抑えなければなりません。  電流、電圧の他に、周波数特性にも注意する必要があります。  インバータや誘導電動機の回転を制御する場合、キレの悪い  デバイスを利用すると、電力制御の効率が落ちたり、期待  する性能が得られないこともあります。  最悪の場合、デバイスの焼損を引起すので、周波数特性の  優れたファーストリカバリーダイオードを利用します。  他に、一定電圧を確保する場合には、Zennerダイオードを  利用することもあります。  ダイオードの概観は、次のようになっています。  左から  です。

パワートランジスタ

 トランジスタの記号は、次のように3端子で電流の流れる方向を  示してあります。コレクタ・エミッタ間電流を、ベース電流で  制御します。  スイッチング周波数を高く設定しても、損失が少ないパワーMOSFETが  大量に出回るようになったので、出番は少なくなりましたが、パワー  トランジスタのドライブ電圧が、パワーMOSFETに比べて小さいという  特徴を利用する回路では、まだまだ現役です。  パワートランジスタの概観は、次のようになっています。  左から  です。  パワートランジスタは、TO-220が主流ですが  TO-92タイプもあります。

パワーMOSFET

 パワーMOSFET記号は、次のように3端子で電流の流れる方向を  示してあります。ドレイン・ソース間電流を、ゲート電圧で  制御します。  FETは、接合タイプとMOSタイプがあります。  接合タイプはドレイン・ソース間の抵抗が高いので  省電力には向きません。パワーエレクトロニクスに  接合タイプFETは使いません。  パワーMOSFETのゲート電圧は、4V以上が必要になる  ので、ドライブ回路に工夫が必要です。  パワーMOSFETの概観は、次のようになっています。  左から  です。  パワーMOS-FETは、TO-220が殆どです。

IGBT

 回路記号は、以下です。  端子はゲート(G)、コレクタ(C)、エミッタ(E)と  なっています。バイポーラトランジスタとMOSFET  のいいとこ取りをしたデバイスになっています。  ゲートとエミッタ間に与える電圧で、コレクタと  エミッタ間に流れる電流を制御します。  コレクタとエミッタ間に流れる電流は10A以上  で、電力制御に適しています。  電力制御に使うときに、電流ではなく電圧を使える  ため、マイコンやCPLD/FPGAを利用できる特徴が  あります。

サイリスタ

 回路記号は、以下です。  ゲートとT1にゲート信号を印加して  端子T2、T1に交流電流を流します。  交流電流が流れてしまえば、ゲート信号を  外しても、交流電流はそのままです。  交流電圧が下がってくると、自動で交流電流  の流れは止まります。

双方向サイリスタ

 回路記号は、以下です。  (双方向サイリスタは、トライアックという商品名です。)  ゲートとT1にゲート信号を印加して  端子T2、T1に交流電流を流します。  交流電流が流れてしまえば、ゲート信号を  外しても、交流電流はそのままです。  左にある8ピンパッケージには、トライアックと制御用回路が  組み込まれています。制御回路が入っていると、デジタル回路  やマイコンからの信号で、交流の電力を好きなように制御でき  ます。

トリガーダイオード

 回路記号は、以下です。  トリガーダイオードは、登録商品名はダイアックと  呼ばれます。NECのN413が有名でしたが、最近は他  企業のトリガーダイオードも使われています。  写真のダイアックは、N413の互換品です。

インダクタ

 回路記号は、以下です。  パワーエレクトロニクスでは、インダクタを電力の  蓄積器として利用します。  他に、負荷に直列に接続して、高周波のカット用  フィルタとしての応用があります。  上にあるインダクタは、アキシャルタイプと  呼ばれ、小規模なDCDCコンバータに使われます。  トロイダルコアに、銅線を巻いたインダクタは  インバータやATX電源に利用されます。  ドラム型のインダクタは、チョークコイルとして  使われることが多いです。

キャパシタ

 回路記号は、以下です。  パワーエレクトロニクスでは、キャパシタを電力の  蓄積器として利用します。  他に、負荷に並列に接続して、高周波のカット用  フィルタとしての応用があります。  左から、バイパス用キャパシタ、サージ吸収用、小規模  インバータ用キャパシタです。  大電力を扱う場合、メタライズドフィルムキャパシタを利用  します。

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