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テルミンシミュレーション

 周波数の近い、2つの正弦波を乗算回路(ミキサー)に入れると
 4つの周波数が得られます。

 周波数をf0、f1(f0>f1)とすると、得られる周波数は4種類

 154kHzと153kHzの場合、次の周波数が得られます。

 2つの周波数から別の周波数を得られるのは、次の
 計算をしているのと等価。



 公式から導いた式で、2つの正弦波の乗算で
 元の周波数の和、差の周波数が得られること
 がわかります。

 欲しい周波数は差なので、Low Pass Filter(LPF)を
 通します。

 OPアンプは周波数特性をもつので、100kHzを超える
 周波数は減衰します。従って、実際にはLPFなしでも
 「うねり」を取得できます。

 楽器テルミンは、「うねり」を利用しているので
 実現するには、次のブロック図で示す回路を構成
 すればよいでしょう。



 各ブロックの実現方法を考えます。

 発振器

  「うねり」を作るには、周波数が2つ必要なので
  発振器も2つ必要になります。ウィーンブリッジ
  の発振器を2つ利用します。



  1kHzの周波数を利用するとして、10kHzと11kHzの
  正弦波を生成します。

 バッファ

  発振器の周波数が、接続回路に影響されないように
  バッファを入れます。電圧フォロワを利用。



  扱う周波数が10kHz前後なら、どんなOPアンプでも使えます。

 乗算器(ミキサー)

  OPアンプを利用した乗算器は面倒なので、簡単に使える
  NPNトランジスタを利用します。



  ベースに入力する電圧で、コレクタ電流を制御。

  コレクタ電流xは、exp(x)=1+(x/1!)+(x^2/2!)と
  展開され、乗算項が出てきます。

  x^2 = (a+b)^2 = a^2+a^b+2ab が得られます。
  2abが乗算項になり、a^2、b^2は、aとbが1より
  小さい場合、より小さい値で無視できる程度と
  考えます。

 Low Pass Filter

  LPFは、抵抗とキャパシタを使った積分回路にします。



  OPアンプを使い、動作を安定させます。

 アンプ

  LPFで振幅が減衰するので、アンプで2倍にします。



  周波数が2倍になると、6dB程度振幅が減衰するので
  2倍(6dB)として、本来の振幅に復帰させます。

 まとめると、以下。



 近い周波数の発振器出力を、ミキサーにいれると「うなり」が
 発生することを、PSoCで確認しておきます。



 2つのPWM回路で、周波数のわずかに異なる矩形波を生成し
 矩形波から正弦波を取得するためにバンドパスフィルタに
 入れます。



 周波数がわずかに異なるだけなので、バンドパスフィルタの
 特性は同じにします。

 2つのバンドパスフィルタの出力を、ブレッドボード上に
 組み上げた乗算器に接続し、小型スピーカを接続します。

 乗算器と小型スピーカの間に、音声帯域アンプを挿みます。

 乗算器の出力インピーダンスとスピーカの入力インピーダンスが
 整合していないと、「うなり」で生成される周波数のズレがある
 かも知れないので、音声帯域アンプを入れます。



 音声帯域アンプには、LM386を利用します。



 アナログコンピュータ基板上のOPアンプで、電圧フォロワを
 作りスピーカを鳴らしてみると、蚊の鳴くような程度だった
 ので、ユニット化してあるオーディオアンプを使いました。



 2つの発振器の周波数は、音声帯域外にあるので周波数
 チェッカーで確認。



 周波数チェッカーは、CMOSカウンタで入力信号を分周し
  音声帯域まで変換後、圧電スピーカを接続しただけ。



 カウンタICは4040、4024等、128分周以上できれば100kHzを
 音声帯域まで下げることができます。

 100kHzを16分周すると8kHzくらいなので、音としての確認
 ができます。

 波形はオシロスコープを確認し、周波数は分周して音で
 確認すれば、シミュレーションできたと言えるでしょう。

 PSoCに、どの回路ブロックを入れるのかを決めます。
 次のように、内部ブロックを当てはめました。



 正弦波を矩形波にPPF(Band Pass Filter)を入れて生成し
 LPF(Low Pass Filter)、アンプはPSoC内部で作成できます。

 ミキサーに使うトランジスタ回路を、外部のブレッド
 ボード上に組み上げます。

 ミキサーに与える波形と周波数を、トランジスタのベースに
 接続した抵抗で観測できます。また、ミキサー出力で入力した
 周波数と別の周波数を観測できるので、ブレッドボード上での
 ミキサー回路は、実験には適していると判断。

 スピーカを駆動するための電力をPSoCが負担できない
 と考えれば、LM386による低周波増幅が必要に。

 PSoC内部で利用する回路ブロックを決めたなら、各ブロック
 の仕様を考えます。

 発振周波数は、可聴帯域を超えた周波数に設定。

 可聴帯域の高い側の外でと考えると、20kHzより
 上の周波数を使えばよいでしょう。

 超音波でよく利用する40kHzとします。

 発振器Aは、固定周波数40kHz。
 発振器Bは、可変周波数として38kHzから42kHzに。

 発振器Bの周波数は、シリアルインタフェースを
 用意してPC(Personal Computer)の端末ソフトで
 可変させます。

 PSoCのためにPCを利用するので、発振周波数を
 PC上の端末ソフトで可変させると、スイッチや
 ボリュームを別途用意しないで、よくなります。

 BPFは、バンド幅の4倍以上のクロックを使う
 SCF(Switched Capacitor Filter)で実現します。

 2kHzのバンド幅を持つとすると、4x(40kHz/2kHz)
 で80kHzとなります。このクロックの5倍以上で
 ドライブして精度を高めると、400kHzが必要な
 クロック周波数。

 発振器A、Bに接続するBPFは、どちらも同じに。
 同じ特性としておけば、新たに考える内容は減る
 ので、他のことに時間を割きます。

 LPFは、カットオフ周波数を2.2kHzとします。
 発振器A、Bの周波数の差、2kHzをカバー
 できる範囲にするため。

 ミキサーは、ベース抵抗を10kΩと回路図で
 指定しているので、トランジスタを選定。
 手持ちの2SC1815を使います。

 2SC1815のトランジション周波数は、80MHzなので
 発振器A、Bの周波数に対応できます。


(under construction)

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