目次

充放電による発振回路

 OPアンプを使った発振回路では、キャパシタの電荷を
 充放電させて実現しています。

 電荷の充電と放電のメカニズムがどうなっているか
 見ていき、動作を理解していきます。

 発振回路は、以下。



 帰還部分の抵抗とキャパシタに動作に注目。

 電荷充電

  電荷を充電する場合、次の回路になります。




  電荷QがOPアンプの出力ピンからキャパシタに移動
  していきます。電荷Qは、OPアンプの電源から内部
  の回路を経て、供給されてきます。

  電荷Qの移動は、キャパシタの電圧がVoutと同じに
  なるまで続きます。

  抵抗は電流を流れにくくする素子。電荷Qの時間変化が
  電流と定義されているので、電流を流れにくくすること
  と電荷Qの移動しにくさは比例。

  電荷Qの移動しにくさが、キャパシタの電圧がVoutと同じに
  なるまでの時間に関係するので、時定数というパラメータを
  導入して判断できるようにしています。

  時定数は、抵抗と静電容量の積が定義。

  グラフでみると、時定数は次のようになります。




  ステップ電圧を与えたときに、その電圧の63.2%に
  到達するまでの時間が時定数。

  10kΩ、0.1uFとしてみると、時定数は1ms。

 電荷放電

  電荷を放電する場合、次の回路になります。




  キャパシタから電圧Qが移動しますが、OPアンプの
  出力は0Vより低い電圧になっているのがミソ。

  OPアンプはコンパレータで動いていると見れば
  OPアンプの出力ピンの電位が0Vより低くなると
  わかります。




  発振回路では、比較電圧を出力ピンからもって
  くるので、コンパレータは出力を確実に0Vより
  低くします。

  10kΩ、0.1uFとしてみると、時定数は1ms。

 充放電により、1ms+1ms=2msが変化の周期となるので
 500Hz程度の周波数になると見積もれます。

 発振回路を組み上げて動作を調べてみます。
 次のアナログコンピュータ基板を利用。




 抵抗、キャパシタはブレッドボードに組上げて
 ワイヤーでプログラミングします。

 アナログコンピュータには、OPアンプがたくさん
 並んでいるので、ある現象をシミュレートする時
 は、ワイヤーで各デイバスを結線し、回路を実現
 します。(これがコンピュータと呼ばれる由縁)

 アナログコンピュータ基板には、分周IC(4024)と
 BCDデコーダ(4028)を載せているので、500Hzは
 64分周し、LEDの点滅で発振を確認できます。

 OPアンプは、正負電源で動かすことが広く普及した常識
 でしたが、21世紀では単電源で動かせるデバイスが出て
 きたので、発振回路も、単電源で動かす工夫をします。

 正負電源を利用したときは、0Vを基準にしていました。
 電源電圧の半分を基準にします。




 単電源で使えるOPアンプとしては、1パッケージに4個のOPアンプを
 含んだLM324があります。このタイプでは、出力は電源電圧から1.5V
 ほど低くなるので、基準電圧を(Vcc-1.5)/2になるようにします。

 1パッケージに1個のOPアンプを使っての実験は
 次のアナログコンピュータ基板を利用。



 1パッケージに2個のOPアンプを使った発振回路の
 基板を半田付けすると、次のようになります。




 OPアンプが不良か否かをテストするには
 発振器と電圧フォロワを使えば簡単。

 ブレッドボードに組み上げると、以下。



 可変抵抗器で周波数を変えて、スピーカを
 鳴らすために電圧フォロワを使ってます。


目次

inserted by FC2 system