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発振回路の実験

 アナログコンピュータを利用する場合、通常正弦波を
 利用して、システム動作をシミュレーションします。



 積分動作だけでシステムを記述できればよいですが
 ステップ入力、インパルス入力、ランプ関数を必要
 とすることが多いので、これらの波形を正弦波から
 出力する発振回路が必要になります。



 インパルス入力、ランプ関数は、OPアンプ回路に
 細工をして実現できます。

 ステップ入力

  ステップ入力は、波形で示すと次のようになります。



  マイクロコンピュータを利用して、正弦波と同期
  したタイミングでHかLを出力します。



  回路は、以下のようになります。



  フォトカプラを利用して、正弦波からトリガーを入力します。
  マイコンはトリガーをとらえ、出力ピンにHを印加します。
  Hの出力時間は、タイマーを利用して決めます。

 インパルス入力

  インパルス入力は、波形で示すと次のようになります。



  正弦波をコンパレータに与えるとインパルス入力
  になります。



  回路は、1個のOPアンプで実現できます。
  また、ステップ入力で利用したマイコン回路も
  プログラムを変更で実現できます。

 ランプ関数

  ランプとは、一般道から高速道路にはいるか
  高速道路から一般道にもどるときに利用する
  坂のことです。



  定電流源から電流を流していきます。
  電流は電荷移動なるので、それが一定になるようにします。
  電荷を蓄える素子はキャパシタなので、キャパシタの充放電
  を利用します。

  回路は、少し複雑です。



  簡単に動作を見ていきます。

  電流=電荷移動という物理上の法則を利用して
  充放電させるのが、ランプ関数になります。

  時間とともに電圧が下がっていくランプ関数を反転器に入れると
  時間とともに電圧が上がっていくランプ関数が出来上がります。

  電流量の調整が発振周波数の調整になりますが、可変抵抗器の
  トリマーを回すと発振周波数を可変できます。

  外部信号でも発振周波数を可変できるよう、コンパレータの
  片側入力電圧を調整できるようにしておきます。

  ランプ関数の生成は、OPアンプの親戚であるコンパレータICを
  使えば可能です。また、固定周波数の矩形波生成は、次の回路
  でも可能です。



  出力電圧を利用して、キャパシタに電荷を蓄えます。
  出力電圧を抵抗で分圧し、コンパレータとすれば
  キャパシタの電圧がある値になったとき、出力電圧が
  反転しキャパシタから放電されます。
  電圧バッファで、次段の接続回路で発振周波数が変動
  しないようにします。

  キャパシタの充放電を利用して発振させていますが
  OPアンプは、コンパレータとして動作しています。

  コンパレータは、2入力の電圧を比較して出力電圧を
  確定します。非反転端子の電圧を変えれば、閾値が
  変わるので、発振周波数を可変にできます。


矩形波生成  OPアンプ1個で実現できる発振回路の実験をします。  回路は、以下。  USB接続オシロスコープで波形観測すると  次のようになりました。  フィードバック抵抗値を半分にし、波形観測します。  (値の同じ抵抗を並列に接続して半分に)  抵抗値が半分になったので、キャパシタに移動する電荷量  が多くなってます。これで発振周波数は大きくなります。  フィードバック抵抗値の他に、非反転端子の電圧を  変えても発振周波数が変わります。電圧分割抵抗の  一方を可変抵抗器にして、波形観測します。  回路は、以下。  波形観測すると、次のようになりました。  フィードバックの抵抗値、キャパシタ、比較電圧を生成  する抵抗値のいずれでも、出力周波数を変えられます。  入手できる部品で、出力周波数を変更すればよいでしょう。  フィードバックの抵抗値、キャパシタは一度決めると  変更するのは面倒なので、比較電圧を生成する抵抗を  可変抵抗器にするのが、簡単かも知れません。  比較電圧を可変抵抗器で変化させると、電圧を変化させて  発振周波数を変えると、Voltage Controlled Oscillatorに  仕立てられます。
ランプ関数生成  ランプ関数の波形をみると、3角波の片側だけに  なっています。  3角波を生成する回路で、ある電圧になったなら  0に落としてしまえば、よいとわかります。  キャパシタに電荷をためていき、電圧が閾値を超えた  なら、電荷を放電する回路を利用すれば、ランプ関数  になります。  コンパレータICのキャパシタの電圧を見ると以下。  キャパシタの電圧をランプ関数に利用できます。  任意の電圧で0に戻すには、電圧比較器を接続  すればよいですし、右肩上がりを右肩下がりに  変換したければ、反転器を接続します。  最も左にあるOPアンプを3角波の発振器にして  おき、バッファを介してから、コンパレータに  接続します。  コンパレータの出力を反転器に入力して、右肩上  がりと右肩下がりの出力を生成します。  アナログコンピュータの基板に部品を実装して  波形を観測して、先の図のようになりました。
ステップ関数生成  ステップ関数は、波形をみて、デジタルで考えると  0か1を出力するだけになります。  電圧をスイッチングすればよいので、アナログ  マルチプレクサを利用します。  CMOSで見ると4016、4066、4051、4052、4053と  選択肢はたくさんあります。  手持ちでは、4051があったのでステップ関数を  生成する回路は、以下としました。  同期化するため、3角波をコンパレータに入れ  制御信号を作ります。  セレクタ信号は、3角波の出力電圧で時間を可変  できるので、可変抵抗器のトリマーを回すことで  ステップ電圧の印加開始時刻を変更できます。  アナログコンピュータの基板に部品を実装すると  以下となります。  矩形波はOPアンプ1個で生成できるので、発振回路を  別途用意し、ステップ関数として使えばよいでしょう。
パルス生成  パルスは、正弦波をコンパレータに入力して生成します。  正弦波の生成は、専用機器を利用します。  正弦波から矩形波を生成したり、矩形波の分周には  CMOSのカウンタ4024を使います。
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